バン・ボーラ!──伊藤武のなまけブログ

作家・伊藤武かきおろしーーーーー満月通信のコラム

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氷の季節【伊藤武かきおろしコラム】



氷が愛おしい季節になりました。
インドではちょうど旬を迎えるマンゴーのシャーベットなんていかがでしょう。
マンゴージュースを、あるいはマンゴーの果肉をミキサーにかけたものを、容器に移して冷凍庫に入れるだけです。食べる30分ほど前に冷蔵庫に入れると、サクサク美味しくいただけます。
ヨーグルトを、ペーパータオルを敷いたザルに載せて水気を切り、それにマンゴーの果肉と好みで砂糖を加え、ミキサーにかけたものを同様に凍らせてもよい。アーユルヴェーダでは、果実と乳製品の組み合わせはタブーなのですが、そんなこと無視したくなるくらい美味しいものです。
だが、それをいえば、アーユルヴェーダはそもそも氷菓なんぞ認めていない。氷のように極端に冷たいものは、身体のドーシャ・バランスを崩し、病気を引き寄せることになりかねないからです。
しかし、砂漠で生まれ、イスラム教とともにインドにもたらされたユナニ(アラビア医学)では、シャーベットは重要な薬剤でした。シャーベットという言葉自体がアラビア起源で、ヒンディー語ではシャルバット(śarbat)と称されます。とはいえ、電気冷蔵庫もなかった時代、インドはいかにして氷を入手したのでしょうか?
以下は、18世紀のムガル時代、アラハバードとカルカッタで行なわれた、インドの製氷法です。

冬、平原に、縦・横9メートル・深さ60センチの穴をいくつか掘ります。
穴の底に、サトウキビないしは乾いた大きなモロコシの茎を、30センチほどの厚さに敷きつめます。この床の上に、たくさんの小さな土の皿を並べます。そのなかに容れる煮沸した水が氷になるのです。
補足すると、サトウキビやモロコシのスポンジ状の茎は、皿の下の冷気の流通をよくします。そして、厚さ約6ミリ、深さ3センチの多孔性の素焼き皿が、水から気化熱を奪うのでしょう。皿のなかの水の温度は氷点下にさがり、氷に変化(へんげ)します。
また、それらが置かれるのは、地面から30センチ以上掘り下げたところ。水の表面が風によって揺れるのを防ぎ、それによって凍結した氷の粒子が分離しにくくなります。
水を沸騰させることは、この製氷法に必要な準備と考えられています。
製氷業者は陽が暮れる頃、この製氷装置をセットし、太陽が昇る前にこの穴の皿のなかで凍ったものをカゴに集め、大きな氷室(ひむろ)に運びます。
氷室は、深さ4・2〜4・5メートルの穴に、まず麦わらを、つぎに目の粗い毛布を敷きつめたもので、非常に乾燥しています。そこで、氷は槌で打ち砕かれ、積み重ねられる。すると、それ自身の冷たさで再び凍り、大きな氷塊を形成します。
氷室の口は、麦わらと毛布を重ねるやり方で外気から守られています。氷室全体にも藁ぶき屋根が架け渡されています。
こうして作られた氷によって、インドのいくつかの地域では、夏の酷暑をある程度しのぐことができたのです。
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