バン・ボーラ!──伊藤武のなまけブログ

作家・伊藤武かきおろしーーーーー満月通信のコラム

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【かんなづきの満月通信】

豆腐?珍(とうふなんちん) 【伊藤武のかきおろしコラム】

暑さ寒さも彼岸まで——とは、よく云ったもの。でんと居坐っていた夏も、秋分のころ二、三度土砂降りに叩かれるとあっさり消え失せ、一気に秋が深まってまいりました。
暑いときは、これしかない、と思って毎日食べていたそうめんのことも、あっさりと頭から消え失せてしまう。封を切った揖保の糸がむなしく残っています。温麺にする手もあるが、毎日食べたいものではありません。
そのてん、暑いときも寒いときも食べられる豆腐はありがたい。
夏はやっこ、冬は湯豆腐という定番もいいが、これも毎日ではさすがに飽きる。さて、どんな豆腐料理があるでしょうか。
豆腐ステーキやあんかけ豆腐や麻婆豆腐は、だれもが思いつくところ。
豆腐は意外なことにトマトと相性がよく、中国にはいっしょに炒めた料理もありますが、イタリアン的展開もいけそうです。
日本在住のインド人が、豆腐をパニール(インドチーズ)がわりに使っている、と聞きました。歴史的に見れば、豆腐はチーズの代用品として考案され たわけですから当然といえば当然ですが、ならばインド的展開もOKということになります。そういえば、バリ島には豆腐カレーがふつうにあります。
江戸時代のレシピ本のベストセラーに豆腐料理を100種コレクションした『豆腐百珍』がありますが、はて、何珍ぐらいいけるでしょうか。
珍なる豆腐料理の基本は、まず木綿豆腐に重しをして、水を抜くこと。
それを手頃な大きさに切って、串に刺し、味噌を塗って焼けば、田楽です。
薄く切って焼いたものを醤油と一味で食べてもおいしい。
水抜き豆腐をガーゼでつつみ、味噌に漬けておけば、醗酵チーズの味わいになります。
天日で干せば、黄色くてカチンカチンの豆腐の干物になります。これをナイフなどで削り、湯でもどせば、肉がわりにいろんな料理に使えます。
日本の寺方に伝わる珍なる豆腐料理に、ウナギの蒲焼きもどきがあります。
水抜きした豆腐とヤマイモとクズ粉に醤油を加えてすり鉢ですり、海苔を貼りあわせて油で揚げる。と、豆腐以下が脂肪の多いウナギの肉のように、海苔の部分が皮のようになる。これに醤油、酒、ミリンを合わせたタレを塗り、蒲焼きにつきもののサンショをふる。
すると、本物のウナギの味がします。油で揚げた豆腐のたぷっとした歯ざわり、旨味、サンショの香りの三位一体がかもしだす風味に、脳が、たくわえてきた経験と照合して、これはウナギである、と錯覚してしまうのです。
——色即是空
見てくれは空である。料理に仏味のたゆたうひとときです。
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