FC2ブログ

バン・ボーラ!──伊藤武のなまけブログ

作家・伊藤武かきおろしーーーーー満月通信のコラム

Entries

【マルマ・マネージメント】コラム

――20世紀のグルたちは、いかなる意図をもって、YOGAを再建したのでしょう? 
――そして、ハタ・ヨーガのオリジンはどのようなものだったのでしょう?
と、前回しるしました。
『ヨーガ・スートラ』の「ヨーガは心の活動の停止」というヨーガの定義を受け入れたうえで、この聖典の「識別(ヴィヴェーカ)による開悟の道」を離れ、プラーナの制御(アーヤーマ)によって、フィニッシュまで持っていこうとしたのが、ハタの始まりです。なぜなら、心の活動も、プラーナの作用であるから。
しかし、クヴァラヤーナンダやクリシュナマチャリヤといった20世紀の偉大なるグルたちにとっては、それは受け入れがたい考えでした。かれらがプラーナを知らなかったわけではありません。
クヴァラヤーナンダは、身体操作と意志の力で、肛門から水を吸い上げる「ヨーガの浣腸」を行なっているし、クリシュナマチャリヤは自身の心臓をほとんど停止させることまでやっている。これらはプラーナのコントロールなくししては、絶対に出来ることではありません。
問題は、西洋科学万能の20世紀前半という時代であったこと。
当時のインドは英国の奴隷でしたし、ほとんどの西洋人や西洋かぶれしたインドの知識人にとって、「東洋のプラーナや気」なんてものは、実証性のとぼしい迷信にすぎませんでした。
かれらが、YOGAを現代によみがえらせるには、プラーナも、プラーナで出来た身体である微細身(スークシュマ・シャリーラ)も、棄てざるを得なかったのです。プラーナのかわりに「実証性のある西洋の解剖学」を据え、プラーナーヤーマを「二酸化炭素と酸素を効率よくガス交換できる呼吸法」にすり替えるのが関の山でした。
グルたちが“ハタ”に託したのは、西洋的な理論に耐えうる健康法やフィットネスとしてのYOGAでした。しかし、プラーナなくしては、ヨーガのゴールにまでは到りません。そこで、その上に『ヨーガ・スートラ』の「識別開悟の道」が、“ラージャ”またはメディテーションとして重ねられたのです。

20世紀後半になると、西洋科学万能主義も翳りを見せはじめます。
ブルース・リーの映画のヒットを皮切りに、一部の西洋人たちも「気」を気にするようになりました。
少しおくれて、インド・ケーララの古武術カラリパヤットが、BBCの放送を介して、その巨大な姿を現わします。カラリパヤットは、まことに、ヴェーダ以来の伝統的な身体観の宝庫でした。
真のハタと身体を共有し、現代ヨガが置き去りにしたプラーナもプラーナーヤーマも微細身も、そこでは生きた知識として伝承されていました。なにせ、プラーナにもとづいて武術と医術を行なうのですから、実証性にはこと欠きません。
そして、その焦点となるのが、粗大身(肉体)と微細身をつらぬくマルマの知識だったのです。
マルマは粗大身にあっては、その者を生かしも殺しもする急所として作用し、微細身にあってはプラーナの流れる脈管の交点として機能します。武者は、あるいは行者は、マルマをもとに、おのれの微細身に瞑想することができます。
インド人もマルマに注目するようになり、マルマ本も数多く出版されるようになりました。が、残念ながら、邦訳されているものも含め、それらのほとんどは中国のツボの理論をパクったものです。
http://itotakeshi.blog33.fc2.com/blog-entry-155.html
http://itotakeshi.blog33.fc2.com/blog-entry-154.html
しかし、なかには、すぐれた著作もありました。
J・N・ミシュラ著『マルマとそのマネージメント』(MARMA And Its MANAGEMENT)。
解剖学者であるミシュラ教授は、何体もの献体を解剖して、アーユルヴェーダの古典にしるされるマルマの位置と機能を徹底的に検証し、そのうえでカラリパヤットのマルマ理論と重ねてみせました。

さて、YAJでは、6月8、9日(土日)に、高尾山合宿「マルマヴィディヤー(マルマの科学)」を予定しています。ミシュラ教授の書を参考に、中医学のツボとの対比、アーユルヴェーダからの解釈など、さらに深くマルマ理論を解説します。

スポンサーサイト

Comment

Comment_form

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

左サイドMenu

プロフィール

インド作家_伊藤武(クルシー)

Author:インド作家_伊藤武(クルシー)
 
メルマガ『満月通信』のコラムを載せていきます。
 
講座案内等はこちらでお知らせしています。
http://malini.blog105.fc2.com/

お問い合わせはこちらまで。
yaj612@gmail.com

twitter

最新記事

最新トラックバック

右サイドメニュー

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR