FC2ブログ

バン・ボーラ!──伊藤武のなまけブログ

作家・伊藤武かきおろしーーーーー満月通信のコラム

Entries

植物の心【コラム】


「痛てえ~」

痛風。足の親指が真っ赤に腫れあがり、文字どおり、風が触れるだけでも痛く、歩くのもままならぬ。家で発泡酒ばかり飲んでいた報いです。かといって、禁酒する気はさらさらない。

少々値は張るが、ちゃんとしたビールに切りかえたら、すぐに治まりました。

(痛風は男にしか罹らぬ病だ。おれもまだまだオトコだな……)という奇妙な安堵感を残して――



さて、パワースポットといわれるようなところに行くと、決まってでっかい「樹」がそびえてます。

風格があります。オレが天地を支えているのだ、と誇らしげです。

ヌシが住んでいる、という気配をまとっています。

そして、フィトンチッドを放出して、われわれを癒やし、すがすがしい気分にさせてくれます。

そんな樹にかぎらず、あらゆる植物はさまざまな化学物質――動物のフェロモンにあたるものを葉や根から分泌しています。フェロモンはエロ関係だけではありません。他の個体とのコミュケーションをはかるための言葉のようなものです。

……好き……嫌い……嬉しい……悲しい……助けてあげる……やっつけてやる……みたいな。

それによって、縄張りを守ったり、ほかの植物の成長を促進したりしています。みずからの生殖のために花粉を運んでくれる虫には蜜とうっとりするような香りを大盤振る舞いしますが、自分を食べる虫が来ると、われわれが殺虫剤を噴霧するように毒霧を吐いて、追っ払います。

では、それらの反応を統括する心のようなものはあるのでしょうか?



「あるはずがない」と多くの学者はいうでしょう。

「植物には、感覚細胞も神経もない。よって、心など成立しようがない。化学物質云々は、進化の過程においてプログラミングされた単なる反射にすぎない」

たしかに、植物は、泣きも笑いもしません。歌ったり、踊ったりもしません。しかし、ちゃんとしたお百姓や園芸家は、植物の泣き笑いや、歌や踊りも感受しているかもしれません。怒りや憎しみも。

植物に心――その定義はじつに難しいが――のごときものがあるとしたら、かれらの欲望は〈個〉より〈種〉の保存に集中しているにちがいありません。自分の死より、自分の子孫が絶えることを惧(おそ)れています。

だから、人間が次の収穫のために種子を保管し〈種〉の維持を確実なものにしてくれるのであれば、人間の食欲に感応して、自分を「おいしいもの」へといくらでも改造してみせる。地中海沿岸に野生していたアブラナの仲間は、ダイコンにも、カブにも、キャベツにも、ハクサイ、ブロッコリー、カリフラワーにも化けおおせてみせました。

アーユルヴェーダの薬師(くすし)たちは、薬用植物の声を聞きわけ、かれらを愛し、かれらの「助けてあげる」の気持ちをつのらせてから収穫しました。

しかし、生命の根幹である種子そのものを管理しようとすると、誇り高い植物はどんな反応を見せるでしょう? タネを結んでも、生をつなぐことのできない不能の奇形をつくろうとすると――



そう、わたしは遺伝子組み換えのことをいっています。先述の「学者」とは、そうした企業から報酬を得る御用学者をさしています。

ディフェンシブ・ミューテーション(防衛変異)ということばがあります。自然界では天敵に対して、みずからをその天敵の毒と化して生き延びる生物は珍しくありません。

フグがそうです。フグの毒はフグ自身がつくるのではありません。食物連鎖がつくりました。毒源となるのは海中の細菌。これがカニやヒラムシに寄生し、それをフグが食べると、肝臓や卵巣に猛毒が濃縮されます。フグはおのれの身を守るために、この方法を開発しました。

狂牛病もそれに類するものと思われます。同族の屍骸を粉にして食わせられたウシたちは、他牛を啖(くら)い、みずからを啖わせる果てなき反復のなかで、それを強制する天敵への呪いを、増幅し、おのれの肉のなかに異常タンパク質として凝り固まらせたのだと。

そして、植物は心がないから安全である、と誰がいえるでしょう。

すでに、小麦は、ジャガイモは、人体によくない、といわれています。いずれも主食として人類を数千年もの間やしなってくれた恩人の、敵を「やっつけてやる」が発動されたのです。

現在、発泡酒には「遺伝子組み換えではない」の表示はしなくてもよいことになっています。つまり、発泡酒の原料はほとんどが遺伝子組み換えと見てまちがいない。

そして、われわれの主食である米も、やがては反乱を起こすでしょう。

しかし、日本は民主国家。われわれにできる対抗策は、今のところ選挙に行くことぐらいしかありません。
スポンサーサイト

Comment

Comment_form

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

左サイドMenu

プロフィール

インド作家_伊藤武(クルシー)

Author:インド作家_伊藤武(クルシー)
 
メルマガ『満月通信』のコラムを載せていきます。
 
講座案内等はこちらでお知らせしています。
http://malini.blog105.fc2.com/

お問い合わせはこちらまで。
yaj612@gmail.com

twitter

最新記事

最新トラックバック

右サイドメニュー

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR