バン・ボーラ!──伊藤武のなまけブログ

作家・伊藤武かきおろしーーーーー満月通信のコラム

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【伊藤武のちょこっとサンスクリット語】

シャーンティ Śānti शान्ित

YOGAブログに「シャンティ」、「シャンティー」と表記されているのをよく見かけますが、正しくは「シャー」で伸ばして、「ティ」は短く発音する。「平安」、「寂静」(じゃくじょう)、“Peace”など訳されますが、シャーンティの雰囲気はそれらの訳語とちょっと異なります。
語根はśam(静まる/鎮まる)。
語根というのは、単語を分析していくと突き当たる「言葉の最小単位」、ないしは「言葉のタネ」。1音節からなり、それ以上遡源することはできないことになっていますが、śamの場合は、さらにśaとmに分けることができます。
śaは邪悪なこと。ヨーガのアーサナにシャラバ(イナゴ)がありますが、śalabhaとは「大地(la)の豊穣(bha)を滅ぼす(śa)もの」。また武器のことをシャストラ(śastra)といいますが、これは「殺戮(śa)の道具(stra)」の意味です。
mは「死」(mṛ)。
つまり、śamの原義は「邪悪なことが死ぬ(終わる)」。よって「静まる/鎮まる」のです。そしてシャーンティは、この言葉のタネを発芽成長させたもの。
まずśamはśāmになります。āは時間の経過をあらわしています。つまり、邪悪なことはすでに過去の出来事となったのです。
このśāmに過去分詞をあらわす語尾の-taを添えて、śām-ta。しかし、tは歯音ですので、tの前のmも歯音の鼻音(n)に変えられ、śānta。
このśāntaの女性形が、シャーンティ(śānti)。この語を擬人化すれば、強く、美しく、シャンとした女性の雰囲気です。
しかし、彼女は、はじめからそうだったわけではありません。過去には、邪悪なこと、辛いこと、苦しみ、トラブルに見舞われたこともあったはず。それを乗り越えてはじめて、彼女は“シャーンティ”となるのです。
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