バン・ボーラ!──伊藤武のなまけブログ

作家・伊藤武かきおろしーーーーー満月通信のコラム

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【伊藤武のちょこっとサンスクリット語】

クンダリニー Kuṇḍalinī कुण्डलिनी
甘い、甘~い、歯が浮いてしまいそうな、しかしハマる人はハマってしまうインドのお菓子ジャレビ。小麦粉を水やヨーグルトでねって、穴のあいた布に包み(いまはマヨネーズの容器みたいなものに入れ)、沸いた油のなかに絞り出します。布の穴(もしくは容器の口)からにょろにょろと押し出された小麦のドウは瞬時に固まり、油の上にとぐろを巻いた蛇のような風情で浮かび上がります。そいつをサフラン色したシロップにどっぷり浸せば、ジャレビの出来上がり。
このジャレビ、サンスクリット名は、クンダリー(Kuṇḍalī)。ハタ・ヨーガの、いわゆる“クンダリニー”の古名でもあります。いずれの語もおしりが、リー、ニーが長く伸びていることに注意してください。サンスクリットの名詞には、男性・女性・中性の性別がありますが、長く伸びた語尾は、その語が「女性名詞」であることのしるしです。クンダリー/クンダリニーは、「とぐろ(Kuṇḍala)を巻いた女(性的なもの)」という意味になります。
さて、お菓子のジャレビ。いつのころからあるか知りませんが、名前から推してイスラム起源。つまり、ヨーガのクンダリー(クンダリニー)より、ずっと新しい。サンスクリット学者は、それまでインドになかった外来物には、それに見合ったサンスクリット名を与えるのですが(ローマ法王が外来物にラテン語の名を与え、キリスト教のものにしてしまうのと似ています)、ジャレビはどうしてクンダリーと命名されたのでしょうか?
かたちは似ている(もっとも、クンダリニーのかたちなんて観念的なものですが)。しかし、それよりも、きっと――。
甘い、甘~い体験。クンダリニーが中央脈管を上昇し頭に到ると、アムリタ(甘露)が分泌されるという。人はそのとき、とてつもなく甘美な快感を体験するとされていますが、甘いもの好きのインド人のジャレビを食べたときに頭によぎる思いが、それに似ていたからかもしれません。

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