バン・ボーラ!──伊藤武のなまけブログ

作家・伊藤武かきおろしーーーーー満月通信のコラム

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【コラム】開け、シヴァ・サンヒター!


ブッダは深遠な空の思想をナーガ(竜)の一族に託した——という伝説があります。人間たちにそれを十全に受け止める用意ができていなかったからです。
ナーガは空の思想を綴った経典を南インドの仏塔に封印しました。600年の間、誰もその扉を開けることができませんでした。
しかしナーガールジュナが現われて、
「開けマスタード!」
を一声すると、巌のような扉がスルスルと開きました。こうして世に出たのが大乗仏教だということです。『アラビアン・ナイト』の「アリババ」の譚に似てますが、イスラムは説話や数学をはじめインド文化から多大な影響を受けていますから、こちらのほうが先でしょう。

『シヴァ・サンヒター』の講義(2016年7月〜2017年6月)を終えて、ちょっとした「シヴァ・サンヒター・ロス」に陥っています。いやあ、楽しかった。訳し、解釈しているときは。情報が高度にコード(暗号)化されていて、それを解読するときは知的悦楽の境に遊ぶことができました。
しかし、この聖典を最初にざっと訳したときは、途方に暮れてしまいました。
あまりに漠然としている。捕えどころがない。タントラかと思えば、ヴェーダーンタが出てくる。タントラとヴェーダーンタはまったく異なる哲学なのだ。
そのうえ、ハタ・ヨーガが絡んでくるが、ハタの本家、ナータ派のそれとは別ものだ。
脈絡がない。いくつもの思想や行法を恣意にコレクションしたのだろうか……?
いや、そんなことはなかろう。読み解くうえでの、キーワードが、ツールが、「開けマスタード!」みたいな鍵となるものがきっとあるのだ。
鍵は、やがて見つかりました。そして、それを使うと、『シヴァ・サンヒター』の重い知識の扉が簡単に開きました。
すべてが有機的につながり、雄弁に語りはじめたのです。
鍵が何であるかは、講義を受けられたかたはご存知ですが、ここでは云いますまい。しばらく楽しめるネタですから。
そして、ネットで、Shiva Samhita,
Śiva-saṃhitāなどで検索してみても、この鍵には、まだ誰も気づいていないようです。知る人も、秘義に属することなので、おおっぴらには発表できないのでしょう。『シヴァ・サンヒター』を英訳した人も、知りえなかった——

20世紀YOGAがいかにして成立したかは、すでに書きました。
http://itotakeshi.blog33.fc2.com/blog-entry-100.html
クリシュナマチャリヤやクヴァラヤーナンダらの著名なグルたちは、ナータ派のハタ・ヨーガとは異なるHATHA-YOGAを創作したわけですが、そのさい大いに参考にされたのが、19世紀後半にインド人の手によってサンスクリットから初めて英訳されたハタ文献——『シヴァ・サンヒター』だったのです。
この英訳はネットで全文を見ることができますが、なんと誤訳の多いこと。読み解く鍵を得られなかったため、解釈もおかしい。もちろん、それからの重訳である邦訳も、同じ誤りを重ねることをまぬがれません。
そして、20世紀YOGAは、この不完全な情報がベースになっていることがわかります。当時は、シヴァ派やナータ派関連の資料が発表されていなく、ある意味避けられないことだったのです。
しかし、21世紀に入って、それまで謎に包まれていたタントラやヨーガのサンスクリット文献がつぎつぎと発表されるようになり、わたしも前述の鍵となるものの知識もそれらから得ることができました。

『シヴァ・サンヒター』の講義録は、YAJ版『図説シヴァ・サンヒター』として、一冊にまとめました。
ヨーガの秘義中の秘義、ヴァジュローリーも詳細に説明しています。英訳や邦訳では外された部分で、これが日本ではサンスクリットからの初めての直訳と解説になると
思います。
333ページで9000円。ご興味あるかたは、このメールでお求めください。

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