バン・ボーラ!──伊藤武のなまけブログ

作家・伊藤武かきおろしーーーーー満月通信のコラム

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【伊藤武のちょこっとサンスクリット語】

スーリヤ Sūrya सूर्य

太陽の季節! 太陽はSūrya。スールヤと読む人もいますが、rの次のyはiの半母音ですので、スーリヤのほうがよいかと思います。sūは「生む」、rは「火/熱」、yaは「シャクティ(エネルギー)」。「一切を生み出す熱エネルギー」。そのものズバリの名前です。
この目出たき天体の神格化がスーリヤ神。彼の生きとし生けるものに恩恵をほどこす気前のよさをあらわす語がバリ(Bali,
बलि)。「与える(bal)神」です。しかし、その気前のよさが仇(あだ)になったこともあったようです。
宇宙の帝王バリ(スーリヤ神)は、いつものように彼を頼ってくるすべての者たちに施しを与えていました。あるとき、身の丈10センチほどのバラモンがやってきました。
「帝王よ。土地を与えてくだされ。この小さな私が三歩で歩ける土地でいいのです」
「よかろう、バラモン殿」気前のいい神は応えました。
と、小人は――いや、太陽の威をねたんだ雨の神インドラにバリの権力を挫(くじ)くよう依頼されて、小人になりすましていたヴィシュヌは、たちまち宇宙神としての無限大の姿をとりもどします。彼は、一歩で天界をまたぎ、二歩で空界を横断しました。そして、三歩目の足をバリの頭に踏み下ろし、彼を地下世界に押し込んでしまったのでした。
ヴィシュヌのズルさばかりが目につく後味の悪い神話です。しかし、大昔にスーリヤを信仰する勢力とインドラを信仰する勢力の衝突があり、前者はインドから駆逐されてしまった。物語はその反映である――と仮定すると、いろんなことのつじつまがあってきます。たとえば――
現在、インドで“スーリヤ”として祀られている神は、ロングブーツをはいて、マントをまとったペルシアの太陽神ミスラのすがたをしています。これは、恩恵を与える神がいなくなるとやはり困る――ということで、新たなる太陽神を異国から招聘(しょうへい)したからです。クリシュナの息子のサーンバがペルシアに行き、ミスラを連れてきた、とされています。
いっぽう、インドを追放されたスーリヤはどこに行ったのでしょう?
もう、お分かりですよね。バリ島です。バリの神話でも、インドから最初にやってきたヒンドゥー神はスーリヤということになっています。
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