バン・ボーラ!──伊藤武のなまけブログ

作家・伊藤武かきおろしーーーーー満月通信のコラム

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立体シュリー・ヤントラ建立



インドやジャワで、ヒンドゥー寺院をお参りしたかたは、きっと、不思議な感覚を経験されたことでしょう。岩の建築なのに、有機的ななにか——そう、巨大な生物の体内に……いや、胎内に呑みこまれたかのような……明るいキリスト教の教会やイスラムのモスクとは異なり、薄暗い、灯明のあかりが光と影の彩をなして踊る石の壁は、まるで、生物の器官がひくひくと息づいているような……そんな気分になる。
そうなるように、設計されているのです。
ヒンドゥー寺院の各部には、人体と同じ名がつけられています。
一番下の基壇はパーダ。「脚」です。その上に、聖室を囲む壁のバーダ=「骨盤」がある。そしてご本尊をまつる聖室自体はガルバ・グリハ=「子宮の家」とよばれます。シヴァ寺院であれば、ご本尊はシヴァ・リンガ。すなわち、子宮のなかにあってヨーニを貫くリンガ——これは男女の営みを胎内から見た光景にほかなりません。
同時に、リンガは恍惚たる精神集中の象徴です。
塔はガンディ=「胴体」であり、その上の飾り石はマスタカ=「頭」であり、同時にそれらは直立する背骨であり、メール(宇宙の中心軸、須弥山)であり、スシュムナー(中央脈管)であり……それに沿ってクンダリニーの焔が、一番てっぺんの珠状のシカー=「まげ」へと、サハスラーラへと、サマーディへと上昇していく。
つまり、ヨーガの体験を、おのれと宇宙の根本原理の同一性を、アートマンとブラフマンの合一を、体感できるように造られた装置(ヤントラ)が寺院なのです。

タントラ的なヨーガに用いる幾何学的な図形——いわゆるヤントラは、このようなヒンドゥー寺院の平面図としてデザインされました。ですから、ヤントラに瞑想するときは、
それを立体としてイメージし、さらに自身の身体と重ねあわせる必要があります(これは、仏教のマンダラも同じことです)。そして、それによって、自分ひとりの心の寺院を所有することとなる。
シヴァ神を礼拝するときはシヴァ・ヤントラ、カーリー女神を礼拝するときはカーリー・ヤントラ、ラクシュミー女神を礼拝するときはラクシュミー・ヤントラ……と、各神格には固有のヤントラがあります。
しかし、いくつもの三角形が複雑に組み合わされたシュリー・ヤントラ(シュリー・チャクラともいう)は、本質的にはシャクティ礼拝のための装置ですが、どんな神に対しても用いることができる、いわば総合寺院とされています。
また、ヤントラは平面図なのですが、シュリー・ヤントラのみは、しばしばメール・タイプ(須弥山形)とよばれるピラミッドのごとき立体として建立されます。
ヤントラが最初から立体であれば、ヤントラへの瞑想がずいぶんと容易になる。タントラのいう「大宇宙と小宇宙の照応」も「チャクラ」の意味もすんなりと腑に落ちることでしょう。

11月11日(金)と12日(土)、サハジャ・デーヴィーで、一人に一つの立体シュリー・ヤントラの建立(制作)と、霊入れやマントラなどのプージャーに関する講義を行ないます。現在開催中の『シヴァ・サンヒター講座』の一環として予定したものですが、どなたでも参加できます。
来場をお待ちしています。
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