バン・ボーラ!──伊藤武のなまけブログ

作家・伊藤武かきおろしーーーーー満月通信のコラム

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古代ピザ【伊藤武のかきおろしコラム】



ミルクは骨粗鬆症(こつそしょうしょう)のもと。小麦は老化を早める。ジャガイモは癌体質をつくる——なんて、最近よく耳にします。悲しくなってきます。
ミルクも小麦もジャガイモも、人類の何千年来の恩人。気の遠くなるような時間をかけて、人びとを養い、はぐくんできたものの評価が、たった数年で変わるなんてことがあっていいのでしょうか?
もし、上に書いたようなことが本当であったとしても、悪いのは、遺伝子を組み換えたり、牛に地獄の責め苦のようなストレスを与えて、そうした危険な食物にしてしまった、恩知らずで残酷な人間のほうでしょう。
そういうわけで、わたしは、昔からある食べものは、選ぶべきものではあっても、避けるべきものであるとは思いません。だいいち、ミルクも小麦も気にしたら、ピザも食べられません。

週に一度は小麦粉をこねくりまわして、毎日パスタやメンにして食べているのですが、チャパティ・ピザもレパートリーのひとつ。生地を丸く伸(の)して、チャパティのように鉄板で焼いて、トマトソースとチーズを載っけて、魚焼きグリルで仕上げる。
オーブンもいちおう持っていますが、めったに使いません。魚焼きグリル。家庭用の調理器具でもっとも高温を出せるのは、こいつです。石窯ぐらいの火力になる。
チャパティは、鉄板が汚れていたり、打ち粉が多かったりすると、すぐに焦げてしまって、けっこう面倒です。あるとき、鉄板を無視し、最初からグリルで焼いてみると、これが大成功。発酵させていないにかかわらず、ふっかふかの、鉄板焼きよりすっと美味いチャパティができました。そういえば、インドで食ったタンドール焼きのローティーがこんな感じだった、と思ったしだい。
ただし、油断すると、チャパティがモチのようにふくらんで、その部分がグリルの天井に当たって焦げてしまいます。チャパティをひっくり返すとき、ふくらんだ部分を破って、ガス抜きしなければなりません。

今回は、トマトを使わない、古代ローマ風のピザを紹介しましょう。
いまの季節であれば、庭やプランターにオレガノの種をまくことから始める。
また、魚屋やスーパーでカタクチイワシを見つけたら、そいつを塩漬けにしてアンチョビをつくることからも。アンチョビについては、ずんぶん前にも書きました。
http://itotakeshi.blog33.fc2.com/blog-entry-22.html
カタクチイワシの頭をハサミでちょん切り、手開きして、内蔵と骨を取り、25%の塩で漬けこむと、ひと月ほどで味がなじみます。このカタクチイワシの塩漬けは、古代ローマの遺産のひとつといわれています。
このアンチョビ——もちろん市販ものでもけっこうですが——のみじん切りをニンニクのみじん切りとともにオリーブ油で炒めたアンチョビソースを、グリル焼きチャパティに塗って、パルメザンチーズを振りかけ、いまいちどグリルに入れる。最後に、フレッシュなオレガノ——これも市販ものでもけっこう——を載せ、さっと火を通して完成。
チーズが溶けないぶん生地の裏も表もパリッと焼き上がっている。
香ばしい匂い、噛むほどに深まる小麦本来のうまみ、アンチョビとチーズのしみじみしたうまみ、オレガノの蠱惑的(こわくてき)なほろ苦さを確かめているうちに、ああ、人間は2000年も前に、この味に出会っていたのだな、という歴史ロマンを逍遥(しょうよう)することになります。
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